膝は身体の中で最も負担のかかる関節で、スポーツ全般をみてもけがや故障発生が多い部位の一つです。手術を必要とするようなケースも少なくありません。靭帯や半月板損傷といった外傷のほか、ジャンパー膝、オスグッド病といった使いすぎによる障害も多く発生しています。
膝
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膝は身体の中で最も負担のかかる関節で、スポーツ全般をみてもけがや故障発生が多い部位の一つです。手術を必要とするようなケースも少なくありません。靭帯や半月板損傷といった外傷のほか、ジャンパー膝、オスグッド病といった使いすぎによる障害も多く発生しています。
前十字靭帯は、膝関節の中心部で大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)をつなぐ、強靭なコラーゲンの繊維束(せんいそく)であり、後十字靭帯と十字に交差して膝関節を支えています。脛骨が前へずれないように機能するとともに、膝関節が滑らかに動くように補助する役割を担っています。この靭帯が損傷、または断裂することを前十字靭帯損傷といいます。スポーツの活動中などに、一度の大きな外傷で発生します。
ラグビーや柔道などで、選手同士の接触により膝を強くひねったり、バレーボールやバスケットでのジャンプ着地時に強い衝撃を受けたり、サッカーやバスケットでの急な方向転換などが原因で起こります。スキーの転倒などでも多い膝の外傷です。
靭帯を損傷すると、動けなくなるほど激しい痛みが生じ、断裂するとそこからの出血が関節内にたまり、腫れが目立つようになります。膝の屈伸も困難になってきます。通常、1カ月程度で痛みは引いていき、日常生活に支障がない程度まで改善がみられますが、痛みが引くことと損傷の修復とは関係がなく、断裂すればそのままの状態です。治療をせずに放置してしまうと、歩行障害や膝がガクッと崩れる“膝くずれ”という症状を起こしやすくなります。半月板や軟骨の損傷を招き、変形性膝関節症に発展してしまうこともあります。このようなことがありますので、痛みがなくなったとしても、軽視せずに整形外科できちんと治療することが大切です。
また、スポーツに復帰できる程度まで運動機能を回復させる場合、他の組織(ハムストリングス腱や膝蓋腱)を移植して前十字靭帯を再建する必要があります。再建は低侵襲な関節鏡視下手術によるものであり、手術後は早い段階から可動域・筋肉訓練やリハビリテーションを行います。
半月板は、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)と脛骨(けいこつ:すねの骨)の間に存在する軟骨性の板で、左右の膝関節に2枚ずつあります。アルファベットの「C」に似た形状で膝の内側と外側にあり、膝のクッションとして機能し、周辺の関節軟骨を保護する役割を担うほか、膝の安定化や脚の屈伸もサポートしています。この半月板が傷ついてしまった状態を半月板損傷といいます。
膝をひねったときに大きな力や衝撃が加わると起きやすく、スポーツで、ジャンプしたときの着地に問題があった場合や、サッカーやバスケットボールなどで急な切り返しをしたときによく起こります。ときには、前十字靱帯の損傷に伴って、半月板も一緒に損傷する場合もあります。
半月板を損傷すると、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかり感が生じます。ひどくなると膝に水がたまって腫れたり、急に膝が動かなくなるロッキングという状態を起こし、激しい痛みで歩けなくなったりすることもあります。一旦損傷すると自然治癒する可能性は低く、放置すると損傷が大きくなり症状が増悪します。
治療には保存的治療と手術治療があります。保存的治療ではテーピングやサポーターで患部を固定し抗炎症剤・鎮痛剤などを用いるほか、リハビリを含む運動療法を行います。一方、スポーツなどのけがによって生じた半月板損傷や保存的治療で改善しない場合には、関節鏡を用いた手術治療を行います。手術は損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術があります。
膝関節内の軟骨が傷んだり、剥がれ落ちたりする疾患で、成長期の小中学生男児に比較的多くみられます。膝の大腿骨(太ももの骨)の外側よりも内側に発症することが多く、まれに膝蓋骨にも起こります。スポーツなどで繰り返される軟骨へのストレスや強い衝撃によって、軟骨の下の骨に負荷がかかることが原因と考えられています。
初期は、運動後に膝の不快感や鈍痛がある程度でほかに特異的な症状はなく、痛みがあっても運動はできます。しかし進行して軟骨の表面に亀裂や変性が生じてくると痛みが強く現れ、スポーツなどに支障がでてきます。軟骨が剥がれて軟骨片が関節の中に遊離すると、膝の曲げ伸ばしの際に引っかかり感やズレ感が生じます。大きな軟骨片が遊離すると膝の中でゴリッと音がしたり、関節に挟まると膝がロックして動かなくなったりすることもあります。
早期に診断がつけば安静や免荷(荷重をかけないこと)などで自然治癒が期待できますが、軟骨の損傷が進行したり、剥がれたりしてしまうと手術による処置が必要となります。早期に発見して治療することが重要な疾患です。
膝蓋腱炎は、使いすぎに起因する膝のスポーツ障害で、ジャンプ動作を繰り返す競技でよく見られることから、ジャンパー膝とも呼ばれています。バレーボールやバスケットボールなどでジャンプや着地動作を頻繁に繰り返したり、サッカーの蹴る動作やダッシュなど、膝の曲げ伸ばしを頻繁に繰り返したりするスポーツで多くみられます。走ることが多い陸上競技でも起こります。日常的にスポーツを行う10代~30代の若い世代に好発する疾患です。
また、スポーツでなくても体が硬い人などで、体力増進のためにランニングや急に走ったり、歩いたりすることで発症することもあります。主に膝前面に痛みが生じ、初期では局所の安静で治りますが、進行すると慢性化して日常生活でも難治性の痛みが出てしまうこともあります。
太ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という大きな筋肉の中には大腿直筋(だいたいちょっきん)という筋肉があります。この大腿直筋は、膝蓋骨(しつがいこつ:膝の皿の部分)を越えて膝蓋腱として膝下の脛骨(けいこつ:すねの骨)につながっています。膝蓋腱炎は、ジャンプ動作や屈伸動作を頻繁に繰り返すことで、膝蓋腱に損傷や負担が蓄積して起こると考えられていますが、運動による疲労によって大腿四頭筋の柔軟性が低下することも要因の一つとされています。
基本的に安静、休養が重要となり、痛みや腫れがひどい場合は消炎鎮痛剤や冷湿布を用います。また、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の柔軟性を改善する目的で、大腿四頭筋を伸ばすストレッチも欠かせません。スポーツを行っている方や学生の方は、練習や試合などもあり、十分に膝蓋腱を休ませることができない場合もあります。しかし膝蓋腱炎が悪化すると腱の炎症だけでなく、腱の一部が切れたり、壊死に至って慢性化したりすることもあります。そうなると、スポーツをする余裕もなくなってしまいますので適切な治療を早めに行いましょう。
10~15歳の成長期のスポーツ少年に起こりやすいのが特徴で、跳躍やボールを蹴るサッカーなどで膝を使いすぎると発症します。脛骨結節(お皿の下の骨)が徐々に突出してきて痛みが生じ、赤く腫れたり、熱を持ったりします。休んでいると痛みは治まりますが、スポーツを開始すると痛みが再発します。
この時期は急激に骨が軟骨から成長する時期で、オスグッド病は成長期にみられる一過性の疾患です。成長が終了すると、多くは治癒します。症状を悪化させないためには、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)のストレッチングやアイスマッサージなどを行い、痛みが強いときのみ、内服や湿布を使用します。痛みがなくなればスポーツは可能です。
発症後3~6カ月は症状が強く出るため、スポーツ前後にストレッチングやアイスマッサージ、ベルトの装着などをしたうえで、スポーツ活動をすることをおすすめします。
変形性膝関節症は、加齢や長年の負担により膝関節の軟骨がすり減り、関節に炎症や変形が生じることで「膝の痛み」や「動かしにくさ(可動域制限)」を引き起こす代表的な疾患です。特に中高年の女性に多くみられ、肥満や筋力低下、過去のけがなども発症の要因となります。初期には立ち上がりや歩き始めに痛みを感じることが多く、進行すると階段の上り下りや長時間の歩行が困難になります。
また、関節内に水がたまる(関節水腫)ことで膝の腫れや違和感が出現することもあります。さらに進行すると膝の変形(O脚など)が目立つようになり、日常生活への影響が大きくなります。治療は運動療法による筋力強化や体重管理、消炎鎮痛薬、ヒアルロン酸注射などの保存療法が中心です。症状が重度の場合には、関節鏡手術や人工膝関節置換術などの外科的治療が検討されます。
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